向井潤吉の描く民家と自然美
 
津々浦々のきらめき


2023年10月7日(土)~2024年3月10日(日)


《北端の村》[青森県下北郡東通村尻屋、尻屋岬入口]1962

草屋根民家のたたずむ風景に美を見出し、これを描くことに戦後40年にわたり半生をささげた洋画家・向井潤吉(1901-1995)。
 地図を携え、絵画道具を背に民家をもとめて旅をつづけるなか、津々浦々のきらめくように美しい景観が、時に向井の目の前に広がりました。奈良の古道や和歌山の梅林、北陸の白波が打ち寄せる日本海――。画家は思いがけない風景との出会いに思わず足をとめ、心躍らせながら絵筆を握ったことでしょう。
 本展では、こうした向井が旅先でとらえた日本各地の豊かな自然風景を、各地の特徴的な民家の姿を織り交ぜてご紹介します。
 また、小コーナー展示では、前期に引き続き、若き日の向井の滞欧時代を特集します。1927年から30年にかけてパリに渡った向井は、同時代の美術の潮流にふれるとともに、ルーヴル美術館に日参し、21点もの名画の摸写を手がけました。このうち現存が確認できている8点すべてが現在、世田谷美術館に所蔵、寄託となって保管されています。今期は、前回ご紹介したクールベ、ミレー、コローに代えて、デューラー、ルーベンスなどの摸写作品を展示します。戦後の民家シリーズとあわせて、どうぞお楽しみください。


《聚落》[山形県東田川郡朝日村田麦俣]


《不詳》[長野県更埴市森区]1961年頃

※[ ]内の地名の表記は、制作時の記録等に基づきます。





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