草葺き屋根の民家を描き続けた画家、向井潤吉は、つねに現場におもむき、誇張のない的確な写実表現によって、民家のありのままの姿とともに、日本の風土の美を描き出しました。戦前より二科会で活動し、戦時中は作戦記録画を制作、戦後は行動美術協会を結成するなど、つねに洋画壇の中心で活動しつつ、失われゆく民家を訪ねる旅にその半生を捧げました。1933年に世田谷区弦巻にアトリエ兼住居を構え、亡くなるまで同地に住み続けました。