京都と武蔵野
 
―向井潤吉が描いたふたつの風景

2025年4月1日(火)~9月7日(日)



丹波下山の部落[京都府船井郡京丹波町下山]1969年

本展では、洋画家・向井潤吉(1901-1995)にゆかりの深い、京都と武蔵野を描いた作品を集めてご紹介します。
 戦後40年にわたり、全国各地の草屋根の民家を描き続けた向井にとって、京都は生まれ故郷であるとともに、好んで取材に赴く土地でもありました。とくに秋から冬にかけて、大原、丹波、嵯峨野などの民家や、近隣の奈良の風景も描いています。
 一方、東京近郊や埼玉方面は、1933年に世田谷区弦巻の地にアトリエを構えた向井の最も身近な取材地でした。早春の頃には、梅の開花にさそわれるように出かけ、武蔵野の広い空とともに民家を描いています。また、郊外の宅地化が進むにつれて、次第にその足は秩父方面にまで延びていきました。
 描かれた京都と武蔵野を見比べると、民家のたたずまいや季節感など、微妙な風趣の違いが描き分けられていることに気づきます。向井が愛してやまなかったふたつの風景を、どうぞお楽しみください。


春叢[埼玉県東松山市神戸]1988年


渡月橋橋畔にて[京都府京都市右京区嵯峨]1957年

※[ ]内の地名の表記は、制作時の記録等に基づきます。





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