過去の展示やアンケートなどで特に人気のある、油彩画25点の候補作の中から、お好きな作品を選んで応募して下さい。
一番人気のあった作品は、今年秋に発売予定の2014年向井潤吉オリジナルカレンダーの表紙になります。

投票にご協力いただき、ありがとうございました。
応募総数は、スタッフの予想を大きく上回る1502通でした。たくさんのご応募、まことにありがとうございます。
◆投票期間:第1期展会期 4月2日(火)〜7月28日(日)
◆応募方法:館内のアンケート用紙及び、郵送もしくはメール第1期展会期 4月2日(火)〜7月28日(日)

 (11位以下は、コチラです。)
皆さまからお送りいただいたコメントと共に、結果を紹介します。作品の地名は制作時の取材地のものです。

1位 六月の田園                     
358票


残雪の岩手山を背景に田植え前の萌える新緑、ひなびた曲屋に、かぎりない郷愁を感じます。
作品ひとつひとつが、なぜか懐かしく感じました。生まれ育った場所ではありませんが、なんだか「そこ」にいたような生活の息吹が感じられました。(中略)遠くに山、萌え出ずる緑、田の水影、私の遠い祖先も、この様な風景の中で生活していたのかもしれません。
この絵を前に深呼吸したくなるから。
全ての作品に言えることですが、けっして立派ではない家々ばかりを描いている。気づかずに通り過ぎてしまう、見過ごしてしまいそうな民家に目を向けているところに作家の心の在りようを見た気がします。優しさを感じます。この作品は晴々とした気分になり澄みきった空気、風をとくに感じたので。
6月の田植え前の田園におたまじゃくしがいて、稲の苗が植わって一面青々となると、カエルの合唱が毎晩聞こえてくる。そんなことを思い出させる絵。心がうずいてくる。
近景の田、中景の民家、遠景の岩手山のバランスがとても良い。白く冠雪した雄大な岩手山の下、水を張って田植えを待つ田が民家を映している風景はオーソドックスでとても良い。
雨気を含んだ微風が、田園や民家や遠方の山麓まで優しく包み、見ているだけでしっとりする気になるのは、画伯の対象物に対する愛着の表れでしょうか。ヒンヤリ感がなんとも言えない名作です。
住んだことはない。行ったことすらない。なのになぜかなつかしい。
山が象徴する雄大な自然の懐にいたかれて、幾年月黙々と苦難に耐えて生活してきたことが伝わってくるわらぶきの家。今年もまた、田植えの時期を迎えようとする人間の営みの、秘めたしたたかさ、しぶとさを感じる。
北国では冬の間、雪に埋もれていた建物の外壁は色がくすみ、草木の芽吹きも遅い。田圃に水が湛えられると、急に風景の印象が変わり、初夏が来る。蛙の声が聞こえるようだ。
 
岩手県岩手郡滝沢村  1971年
2位 春塘
199票


「春塘」に描かれた夕焼け空が好きである。こんなに美しい夕焼けを、一生に何度見ることができるだろう、と思ってしまう。幼い頃、夕暮れに気づいて、家に帰らねばとあせりつつ、いつまでも見続けていたい夕焼けに出会って、突っ立っている、そんな気分になる。この絵の前に立つと、絵の中の夕焼けに自分も照らされている、と思えるのだ。
木々に咲く花と、紅く染まる空の色彩が絶妙です。
里の春の華やぎを赤を用いて印象的に表現しているから。とても日本らしい春景だと感じ入ります。
「春塘」の言葉の意味をご一緒になった方からお聞きした絵で、朝か夕方かわからないけれど、ピンク色にそまった空と川面に昇るその色が、心やさしくしてくれたので。
去りゆく冬の寒さと、そこまで来ている春のあたたかさが、1枚から同時に感じ取れ、また、どこかさみしさとぬくもりも同居している点。こちらの気分により、どちらにも感じられる点。
薄暮のほのかなあかね色と照り映える道が力強く見事でした。
 
埼玉県川越市郊外   1984年
3位 遅れる春の丘より
177票


早春の空になびく白い雲、まだ芽ぶきのない木々ではあるが、訪れる暖かい春を感じる。
洗濯物が干してあり、そこに人が暮らしていることが感じられてほっとします。青い空に白い雪の積もった山の遠景もきれいです。
もう今はほとんど見られないカヤブキの家。残雪の山並みと芽ばえはじめた草花に、日本の自然美と心を感じさせる。
ゆっくりと来る春を待っている風景が好きです。
 
長野県北安曇郡白馬村北城 1986年
4位 微雨
176票


(略)雨上がりのあとで、雲が上昇していくさまは「絵」ではなく動きがある。動画のような気がします。
山の近傍に人の生活があり、人の生活の近くに山があって、微雨が両者をゆっくり結んでいるようです。
細部の美しさを、一つ一つ愛でていると、不意に浮かび上がってくる背景の山々の立体的な雄大さに圧倒されました。引き込まれていきそうな絵です。
山中の湿度の高い空気と、のれんをゆらす風が見えるようです。
人の営みと雄大な山が対比していて面白いと思いました。自然に抱かれて、人は生きていくのだなと思えました。力強いタッチは、明日への活力をくれます。
白霧に緑の新鮮な山肌が、心を落ち着かせ、これから来る夏の陽光を予感させる路上の微雨の昭光と、傘を持ち行き交う知人に安心感をもつ、古家の町並みは、人の生きる道を教えてくれているようで、私は、この絵に魅かれました。(※昭光…あきらかに輝く光。光明)
旅人が、こぬか雨に急いで旅籠にかけ込みたくなるような、少し淋しく、それでいて、木造のあたたかな人の営みが伝わるようです。ぬれた道もいいですねぇ。
 
長野県木曽郡南木曽町妻籠 1974年
5位 草原六月
137票


斬新な構図、匂い立つ春の息吹を感じさせる色彩。伸びやかで繊細な筆使い。大好きな作品です。
北の初夏のさわやかな風の音が聞こえるようです。
雲の動きと草原の色がきれいで好きです。民家が木で隠れているところもステキでした。
私の生まれは北海道。北海道の遅い春の感じが良く出ていて、子供の頃を思い出させてくれました。
[編集註:向井潤吉談に]「緑は不得手である」とありましたが、雲の白と木々の緑のコントラストが印象に残りました。
連日暑い日が続いていて、この絵を見た時に、涼しい風が吹き抜けたように感じられました。
草原というか草の緑の美しさと、空の広さを感じさせてくれて、心が開け放たれていく感じがして好きです。
 
北海道厚田郡厚田村聚富村 1967年
6位 爽緑の丘
123票


一目見て、匂いまで感じられるような緑の鮮やかさに圧倒されました。緑は不得手というお話ですが、胸がすっとするような色彩ただただ見惚れるばかりでした。叶うものなら、あの緑の中に立って、土や日差しの匂いを感じてみたいものです。
まず、空が描かれていない少しめずらしい作品だなぁ、と感じたのが最初の印象でした。見るにつけ、少し丘の下から見上げた民家、後景が深い緑で描かれた杉(?)林の存在の緑色のバランスが美しく印象に残る作品だと私は感じました。民家の描き方、筆のタッチも説明的な要素がなく、素晴らしいと思いました。
民家のわらぶきの色(明暗)と、草花が生きているかのような色合いに感動しました(赤・黄の色使いが)。
空が数多く描かれている中で、深く濃い色使いが貴重で珍しいから。
濃い緑を背景に、下から見上げた民家が、とても印象的。手前の赤や黄色の小さい花もよい。
 
東京都青梅市栗平  1976年
7位 妙高高原
114票

雄大な山容と、春を迎えようとしている民家の姿、日本の原風景のような気がします。
(略)青・白・黄・赤・緑など、色のバランスが見事に配置されていて心ひかれるものがあります。
雪の残る山頂の存在感、りんとした空気感がとらえられ、日本の風景の明るい良さが表現されている。
風景の中に自分が実際にいるような深呼吸したくなる、そんな作品です。
 
新潟県中頸城郡妙高高原町  1964年
8位 春叢
90票


寒色の中、春を思わせる木に咲く白い花がホッとした気持ちにさせてくれます。
自然と共に永い時間そこにある凛とした家の佇まいと、厳しい冬を超えた新しい芽吹きの季節を感じます。大きく澄みわたる青空もすがすがしいです。
まだ寒い頃、梅の香りが春が近いことをおしえてくれるようです。
空、古民家、梅(?)の花など、大好きな要素がバランスよく。
 
埼玉県東松山市神戸  1988年
9位 ふもとの老樹
27票


日本ならではの風景・色・山・残雪、そして老樹。まさに「わび」の世界そのものです。
雪化粧した山並みと、真ん中の花の色合いが美しいから。
 
山梨県北巨摩郡小淵沢町  1969年
10位 宿雪の峡
23票
 3期展展示中

雪山のところに木々や地面が見え隠れするさまが棚田のように美しく、冬のひと月眺めていたい作品だと思いました。
厳しい雪山シーズンへの身構えと家族が団らんする民家の暖かさが絵画的に美しい。
 
長野県下水内郡栄村秋山郷 1983年
10位 水辺の曲り家
23票


川のせせらぎ、清々しい空気が、鮮やかな色彩とともに感じられ、道を歩いてたどり着いたような感覚になりました。緑の涼しさが伝わり好きな作品のひとつです。
・住んだことはないが、なつかしさを感じる。
・コローを思わせる水辺の風景の中に画家が描き続けられた、古民家がどっしりと構え、存在感を示しています。小ぶりながら、とても印象的な作品。
 
岩手県稗貫郡大迫町内川目  1976年
10位 白川郷
23票


独特の日本の民家だから。
 
岐阜県大野郡白川村萩町 1963年
11位以下はコチラです。

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